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ドラマ 映画

嫉妬が織りなす人間ドラマ『あるいは裏切りという名の犬』

あるいは裏切りという名の犬

フランス映画の2004年制作の「あるいは裏切りという名の犬」です。原題は「36 quai des Orfèvres」、監督はフランス、ジロンドのタランス出身のオリヴィエ・マルシャル

フィクション映画ですが、元ネタはフランス警察で実際にあった話を脚色して制作されているので、生々しい人物描写が味わえます。パリ警視庁で、正義を貫く刑事と野心家の刑事2人が陰謀策略と愛憎を交えて、おのおのの身の振り方にもフォーカス、役者の力量がそのまま表れる力作です。セザール賞の作品賞、監督賞、脚本賞にノミネートされましたが、受賞にまでは至っていません。

役者はハリウッド映画ばかりに関心がある人なら、あまりご存じないかもしれないけれど、フランスでは名優の、ダニエル・オートゥイユジェラール・ドパルデューが主演しています。

実話を参考にしてしているからか、この手の物語をハッピーエンドでまとめるのは難しいです。当然本作も、皆が幸せという終わり方はしませんが、因果応報的な要因をふまえつつ、プチ納得な感じで終盤を迎えます。伏線は上手く閉じていくので、納得せざるをえません。

あらすじ

パリ警視庁で、仲間からの信頼厚く、正義を信じるレオ・ヴリングスと、野心家で利己的なドニ・クランはかつて親友でした。しかし、一人の女性、カミーユをめぐり奪い合うこととなり、彼女はレオの妻になります。この件から、二人は仕事で、愛憎渦巻くライバル以上の対立関係になります。

物語の初めに、現金輸送車強奪事件が起きます。その犯人捜索を巡り、レオに手柄を立て、それを製バルのドニは気に入りません。

その後、独自ルートから、レオがとある殺人事件の偽証に関与していることを上司に密告します。レオは容疑者として逮捕されてしまいます。レオは服役することとなり、獄中で最愛の妻、カミーユの死が知らされます。

七年後、全てを失い出所したレオは、妻の死には、ドニが絡んでいるという真相を知り、長官となったドニの元へ向かいます。そして、再会することになつた二人は、決着の時を迎えます。

人間の愛憎ドラマ

警視庁というわかりやすい舞台を設定しているので、ストーリーは頭に入ってきやすくなっています。当時要する人物はどれもクセのある輩で、暴力は振るうわ、チンピラ感丸出しだったりして、見ごたえあります。

初めにヴリングスの部下の退職パーティでは、本人とその部下の人柄をしっかり描写しています。と同時に、暴力シーンも並行して描写して、視聴者にバイオレンスと愛憎がこれから展開されていくことが、しっかり期待させます。

性格の全く違う二人の刑事が、一人の女性を射止めた、射止めないで仲が悪くなり、片方が警視庁内で出世しかけると、足を引っ張って引きずり落すという中身です。

女性をめぐり親友の中がギクシャクすることは現実にもよくあることで、出世の足の引っ張り合いも普通にあると思います。ただ、この映画ではモロに顔や態度、行動に出て相手の邪魔を全力でやってしまうところが持ち味ですね。陰湿にジメジメと描かれると、二度見ようとは思わないものですが、意外とこの粘着愛憎劇をすっき得描かれているので、何度も視てしまいます。

女性をめぐり親友の中がギクシャクすることは現実にもよくあることで、出世の足の引っ張り合いも普通にあると思います。ただ、この映画ではモロに顔や態度、行動に出て相手の邪魔を全力でやってしまうところが持ち味ですね。陰湿にジメジメと描かれると、二度見ようとは思わないものですが、意外とこの粘着愛憎劇をすっき得描かれているので、何度も視てしまいます。

出演者のトリビア

ダニエル・オートゥイユ

ダニエル・オートゥイユ

アルジェリア出身のフランスの代表的な俳優です。代表作、『愛を弾く女(1993)』が有名ですね。何度か結婚してるようですが、エマニュエル・ベアールもかつて彼の奥方でした。

ジェラール・ドパルデュー

ジェラール・ドパルデュー

ジェラール・ドパルデューもフランスを代表する役者ですが、非行少年で臭いメシを食べたこともあることでも知られています。そのグレた生き方を救ってくれたのが演劇だったとか。

いい役者に違いないのですが、プーチン大統領と親交が厚く、2013年にロシア国籍を取得したり、2018年に北朝鮮の行事で目撃されたりして、私には推し量りにくい人物でもあります。

ヴァレリア・ゴリノ

ヴァレリア・ゴリノ

元モデルのヴァレリア・ゴリノは、還暦前でもその美貌は流石ですが、同年代の女優と比べると少したるんでるのではとも思います。
イタリア出身で、ギリシア語、フランス語など数か国語に堪能な女優です。
演技の勉強はしたことないそうですが、出演する作品はそことなく気品が漂っていい感じですね。

元ネタは?

オリヴィエ・マルシャル

フランス警視庁内部のストーリですが、わかりやすく描かれていて、フランスの期間もこんな感じなのね、とすらりと頭に入って来ます。本映画の監督、オリヴィエ・マルシャルは、実際に警察官をしていたことがあります。脚本は共同で元刑事ドミニク・ロワゾーが参加しています。(絵は元警察職員だったオリヴィエ・マルシャル監督)

実際にロワゾーが現役時代に経験したエピソードを中心に、実在の事件や人物をネタにして制作しています。特に、フランスの警察組織内部の闇にフォーカスしている点は、1990年代からの定番と言ってもいいほど人気ネタです。フランス警察の汚職を混ぜた作品は、今も大人気ですね。フランスの日刊新聞に取り上げられる腐敗ネタの記事からもヒントを得てそうです。

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