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イカれた脳内劇場『アイデンティティー』

アイデンティティー

2003年に公開された、心理サスペンス。この作品はネタバレすると楽しみ半減なので、ここではコア部分をあえて避けて紹介します。

あらすじ

人里離れた砂漠の町で突然の暴風雨が発生し、一軒の荒廃したモーテルに閉じ込められた性別も年齢もバラバラのワケありの11人が、一人ひとり極限の状況下で何かをたくらむ。

一方、場面が変わり、時を同じくして死刑を宣告された囚人(マルコム・リバース)の再審理中で、現在移送中で立ち往生している。

ローズ警察の刑事である (レイ・リオッタ) は、危険で常軌を逸した犯罪者ロバート・メイン (ジェイク・ビューシィ) を現在拘留中。雨が降りしきる中、モーテルの支配人ラリー(ジョン・ホークス) は顧客の世話を一人ずつしようとします。

そして、予期せぬ宿泊客が殺人犯の手によって命を落とし始める。一人、また一人と惨殺され始めた。残された誰もが疑心暗鬼になり、彼らにある共通点があったことが判明する。

死体数が増えるにつれ、足止めされた旅行者たちは犯人を突き止めようと奮闘する。しかし、彼らはそれぞれに秘密があること、そしてモーテルに到着したことも知ります。姿かたちも、年齢も違う、その彼にも同じ共通点があることを知る。

共通点は、それは単なる偶然の問題ではなかったのです。犯人は、生き残った生存者の中にいるのか?

いるはずだ。

ラストでは、その共通点から、二つの事件が一つに繋がり、衝撃的な終わりを迎える!

楽しみ方

劇場鑑賞した当時(2003)は、伏線の確認のために、私の場合は、日を改めてもう一度観に行った記憶がありますが、現在ならネット配信、Amazon プライムU-NEXT などを利用するのがおすすめです。

一発映画だと言われ続ける『アイデンティティー』

この作品の演出は一度限りって感じはしています。妄想と現実を織り交ぜて一つの作品が出来上がるタイプは、まさにこの作品です。その織り交ぜ方が、本作は独特ですね。

ブレット・ローア

子供が悪さするシーンなど、雑い画像、映像の部分があるのですが、わざとやってますね。あり得ない安っぽい演出をわざとはめ込んで、視聴者に伏線張ってるのは上手いと思います。図の真ん中のティミー少年(ブレット・ローア)は伏線ですので、しっかり踏んでおきましょう。

ラストは猟奇殺人者のオヤジが、自分の顔に気づいてギクッとするシーンがあるのですが、いいですね。でも、数ある同様ネタに本作の演出を二度使いするのは難しそうです。90分でまとめたのもいい感じです。

同タイプの演出は今後はすぐにネタバレするので、難しそうですね。一方で、デビッド・リンチの手法は何度も使いまわせそうですが、本作品の手法は本作品限りになりそうです。

トリビア

ジョン・キューザック出演作品にはハズレが少ない現実

ジョン・キューザック

キューザックは地味な感じのする役者ですが、出演作品にハズレが少ないことも地味に知られています。つまり、台本・脚本を読み込んで自分が出演する作品を選んでるでしょうね。

評価の高いプルイット・テイラー・ヴィンス

プルット・テイラー・ヴィンス

隠れたやり手俳優、プルイット・テイラー・ヴィンスは本作『アイデンティティー』で、マジの犯罪者、マルコムを演じています。味のある役者で、もっと演技を視たいと思う人もいるのですが、本作では(ほぼ)締めの部分で活躍です。

本作以前には、『エンゼル・ハート』、『ワイルド・アット・ハート』、『JFK』、『海の上のピアニスト』、『シモーヌ』、『ザ・セル』など、本作後は『コンスタンティン』、『ギャング・イン・ニューヨーク』などのヒット作にも出演し、独特のスパイスのきいた役柄は、俳優界では欲しい人材ですね。

トリビアとしては、ジム・ジャームッシュ監督の『ダウン・バイ・ロー(1986)』に出演したかと思いきや、出演シーンがカットされてしまい、デビュー作に入れることができなくて悲しいと語ったことがあります。

ジェームズ・マンゴールドはイケてる監督

ジェームズ・マンゴールド

『アイデンティティー』は一発を狙った映画だという印象を持つ人が多いのですが、よくよく見返してみると、しっかりしたプロット、演出など、下手な一発屋ではありません。

監督作品を見てみると、例えば1966年のル・マン24時間耐久レースを描いた『フォードvsフェラーリ』はフォードファンの心をつかみ、『17歳のカルテ(1999)』のようなメンタル直撃の映画もしっかり描いています。『LOGAN ローガン(2017)』のようなファンタジーでも、キャラクターの内面描写に手抜きがないところから、心の内面描写を得意としている監督です。

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