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なんだこれは「マルホランド・ドライブ」

マルホランド・ドライブ

この映画に関しては、しぶとく何度か繰り返して観るつもりのない方は時間(約二時間半)の浪費になりますので、観る前に注意を要する映画です。一度観るぐらいだと、ワケワカンナイ映画というくくりで終わってしまいますので、好きな方だけ観てください。

当サイトの管理人は、この作品が DVD 化されたとき予約してポスター付きで購入しました。本作品の特別なファンというわけでもないと思うのですが、リンチ監督が描く世界観にはまってしまったんですね。現在、U-NEXTで視聴できますので、興味がある方はお試しください。

本作品は、ミステリーなのかファンタジーなのかオカルトなのか区別のつきにくい映画です。あえて言えば、上のどれでもない夢遊病者的な視点で書かれた映画に感じます。ちなみに公開当時に、監督のデビッド・リンチにこの作品の説明を求めたインタビューがありましたが「あなたが感じたこと観たことがすべてだよ。説明なんて必要ない。」なんて答えていました。

意地悪な米国インタビュアーがリンチ監督に「あなたはこの映画、わかって理解したうえで作ったのか?」などと、まるでデタラメ作って恥ずかしくないのか的なことを聞いたら「私の中では完璧に、理路整然と整理されている」と答えていました。
難監督リンチですが、よくわからないまま観たら、嫌になるハマるかしかありませんので、早速ポイントを絞ってみていきましょう。

本作品は、 U-NEXT Amazon プライムビデオ で視聴できます。

夢と現実の狭間の漂流体験

マルホランド・ドライブ(U-NEXT)

ミステリアスな空気感が難解でやみつきになるミステリー

ロサンゼルス北部の山を横断する実在の道“マルホランド・ドライブ”。眼下にはハリウッドを一望できるこの曲がりくねった道路をモチーフに、「ツイン・ピークス」のデヴィッド・リンチ監督が描く妖しく危険なミステリー。当初、「ツイン・ピークス」同様TVシリーズとして企画されたが、その過激さから局側が尻込みし、新しく劇場版として甦った。

 真夜中のマルホランド・ドライブで起きた車の衝突事故。ただ一人助かった黒髪の女は負傷した体でなんとかハリウッドの街まで辿り着く。女が隙を見て留守宅へ忍び込むと、そこは有名女優ルースの家だった。女は直後にやってきたルースの姪ベティに見つかってしまう。とっさにリタと名乗った女を叔母の友人と思い込むベティだったが、すぐに見知らぬ他人であることを知る。問い詰めるとリタは何も思い出せないと打ち明ける。手掛かりを求めて開けたバッグには大金と謎の青い鍵。同情と好奇心からリタの記憶を取り戻す手助けを買って出るベティだったが……。

allcinema.net より引用

予習ポイント

  • 細かいカットにヒントあり
  • マルホランド・ドライブとはハリウッドにあるダラダラと実在の長い道路のこと
  • リンチ監督の作品に答えなんてない、要は自分でどう納得したかどうか

本先品には、リンチ監督がよく使う通称リンチブラックというトランジションが使われています。カメラを暗闇に突っ込ませて、暗闇の中から次のカットが現れるという、場面切り替え技法です。本作品では、現実から虚構へ、生から死へというような場面で使われていると思います。

デヴィッド・リンチによる10個のヒント

映画公開時に、ストーリーを理解するためのヒントとして、オフィシャルサイトに掲載されていた「デヴィッド・リンチによる10個のヒント」は以下の通り。現在は Wikipedia にも転載されています。
公式な解答などはないので、考えた、観た人の数と同じくらい答えがあります。本ページの解答も参考に過ぎません。この公式ヒントも、広告会社が無理やりリンチ監督の発言から引っ張ってきたセリフという感じで、整理されたヒントという感じではなさそうです。ヒントに着目したからといって、本作品の理解につながるかどうかは別問題だと心得ておきましょう。

  • 映画の冒頭、クレジットの前に、私(リンチ監督)の知る限り、少なくとも2つの手がかりがある
  • 赤いランプに注目せよ
  • アダム・ケシャー監督がオーディションを行っている映画のタイトルは? そのタイトルは再度誰かが言及するか?
  • 事故はひどいものだった。その事故が起きた場所に注目せよ。
  • 誰が鍵をくれたのか? なぜ?
  • バスローブ、灰皿、コーヒーカップに注目
  • クラブ・シレンシオで、彼女たちが感じたこと、気づいたこと、下した結論は?
  • カミーラは才能のみで成功を勝ち取ったのか?
  • ウィンキース(Winkies)の裏にいる男の周囲で起きていることに注目せよ
  • ルース叔母さんはどこにいる?

このヒントを理解するには、おそらくリンチ監督世代の映画俳優と作品の予備知識が必要っぽいです。例えば、『サンセット大通り』(1950年)などのオマージュになっている箇所が多くあります。

キャストまわりから流れを抑えよう

主人公ベティを演じるのはナオミ・ワッツ、ベティは地方からハリウッドに出てきて女優をめざす女優志望予備軍。とくにお金に困っているわけでもなく、身なりも普通で普通で、お金持ちの親戚にも恵まれる。

オーデションのために、ハリウッドのお金持ち親戚の一軒家に少しお暇させてもらえることができたベティは、たまたま迷い猫のようにやってきた、記憶喪失のリタ(ローラ・エレナ・ハーディング)と行動を共にする。もちろん、リタの記憶を取り戻すことを助けるためである。リタは記憶喪失中なので、ひたすらベティと行動を共にするだけである。

ベティは演技力にも恵まれた才女で、オーデションも順調にすすむ。ほぼハリウッド映画の主役を獲得するのかと思わせるよう展開します。
ベティは、リタの記憶を取り戻そうと、事件関係者・行方明者をあたるが、空振りに終わる。二人で一緒にいる時間が長くなったからか、キングサイズベッドを共有しているからか、行動が肩透かしになった勢いで二人は同性愛行為を始めてしまう。この時点で、二人は恋人関係にある(なる)ということになる。

二人でおめかしし、クラブシレンシオに向かう。クラブシレンシオは口パク演奏や歌を演出する劇場である。歌に涙しながら、リタは手持ちのバッグを開けると、なぜか鍵のかかった青い宝石ケースが入っている。このあたりで、この映画のストーリーを見失うリスクがあるので、視聴者は集中する必要が出てくる。そして、二人はおばさんの家に戻るが、家の中でベティは姿を消してしまう。
一人になったリタは、一人で例の青い鍵で青い箱を恐る恐る開けると、宝石箱の中が真っ黒でアップされ。いわゆるリンチブラックが画面いっぱいに広がり、前半が終了する。

後半部分はいきなり衝撃的に展開する。前半であれほどかわいかったベティはボロボロの身なり、汚い服に汚い部屋で目覚める。目は明らかに何かを思い詰めており、精神状態も普通ではなさそう。リタとの恋人関係は現在もあると想像させるが、ある日二人でソファーで愛し合っていると、リタから別れを切り出される。どうやら、前半はベティの妄想か夢を映像化したものかもと、視聴者は気づき始める。また、その時に今までベティだと観客が思っていた彼女の本当の名前は、ダイアンであることがわかる。また、リタの現実世界の名前はカミーラであることもわかる。

後半部のいきなりの場面設定が大きく変わるところから見ると、やはり、今まで見てきた前半部分はダイアン(前半部のベティ)の妄想だと捉えるのが自然。そうだとすれば、意味深なシーンやカットなども意味を持ってくる。

ベティことダイアンは、どうやら現実には売れない女優で、リタことカミーラの方は売れっ子女優。カミーラのそばで脇役、カミーラに遊ばれて捨てられたダイアンという図式が見えてくる。あるいは、カミーラに遊ばれることで、売れっ子監督に近づくチャンスを狙うダイアン、でもうまくいかない。

最後にカミーラに捨てられ、カミーラは監督と、そして同時に自分より若い女優とも恋仲になると気付いたダイアンは、カミーラ殺害を殺し屋に依頼する(カミーラは男性でも女性でも愛せる人のようにみえる)。
カミーラを失ったことと、自分が殺し屋を雇ったことへの罪の意識から、ダイアンの夢は果てる。

もう少し深く見てみる

前半で見てきた正体不明の人物は、後半ではハリウッドの映画関係者として登場するということは、前半部分はやはりダイアンの妄想だとみるのが一般的。

後半部分は、当然ほぼ真実に基づいていると事実描写だと理解することにする。もちろん、前半が現実、後半が妄想描写として理解してもいいとは思うが、映画としてはそれでは面白くない。前半と後半ともに妄想映画と理解することもできなくはない。でも、前半を妄想、後半を事実に基づく描写と理解しておかなくては、映画作品としての本作品はまとまらなくなってしまう。最終的にダイアンが自殺して、ジ・エンドになる物語です。自殺の原因はダイアン自身が雇った殺し屋が、かつての恋人カミーラ殺害に成功したことに衝撃を受けたから、かつての愛する恋人を自分が(依頼して)殺してしまったからなど、自責の念からだと公開当初から説明されてきました。映画での殺害の成功は青い鍵として現れ、カミーラへの情愛は激しいマスターベーションのシーンで読み解けます。でも、それだけで自殺したのかどうか、終盤では精神状態に異常をきたして幻覚も見えているので、ホントの理由は分かりません。

ハリウッドの映画界には謀略や、謎の機構があることはよく語られます。陰謀が錯綜する中、ダイアン・セルウィン(ナオミ・ワッツ)に起こったすべての悪い出来事は、彼女自身の責任ではなく、誰かわからない他の何物かの策略の産物として、ダイアン自身は理解しているわけです。

映画のあらすじと鑑賞ポイントは上の通りですが、普通に観てもまだ謎に思う場面が出てくるはずです。その謎っぽさ、意味深なミステリー仕立ての描写のしかたが、観終わったときに「何となく切ない淡い無念さ」が染みる思いにさせてくれます。私としては後味が悪い映画ではなく、むしろ味わい深かったのですが、皆さんはいかがでしょうか。

誰もが気づく、不連続カット

映画の前半部、ファミレスのウィンキースのシーンは、誰もが一発目で気づく不連続カットである。カメラは、

わけわからないけど、シーンとしては最高

この映画にはまる人は、次のシーンは何度見てもいい感じなはず。

最高級のエスプレッソでスポンサーをもてなそうとする映画会社だが、スポンサーは配役にに不満なので、一度口に含んだエスプレッソをチビリチビリ、ナプキンに漏れるように吐き出す。イヤミとしては最高レベルで、こんなことやれたときには、マジビビルと思う。

プライドの高い映画監督は、スポンサーが押し付けてくる主演女優の起用をめぐり、思い通りにならないことから、スポンサー所有の高級車リンカーンを、ゴルフパッドでメッタクタに殴る。こんなことが通じる監督なら、さぞ大物なんだろうと想像する。

女房が清掃会社の男と自分のベッド浮気されているのを目撃した監督は、発狂して相手か女房をシバきにいくのかと思いきや、代わりに女房所有の大量の宝石の入った箱に、ピンクのペンキをネチネチとかけて、手でこねくり回す。
宝石が壊れるわけでもないのでソフトだが、でも嫌がらせとしては、最高。

さらに、浮気された側(映画監督)が女房の浮気相手に自宅でぶん殴られ返り討ちになってしまう。なぜこのシーンがあるのかよくわからないが、何度見てもおかしい楽しい。

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