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少年の夢を思い出した『オデッセイ』

Odyssey

リドリー・スコット監督の2015年の作品『オデッセイ』は、事故で火星にひとり取り残された有人探索チームの一人が火星で孤独にサバイバルして、同時に残りの探索チームが火星外から努力し、全員手で地球に再び帰還するSFストーリーです。

原作はアンディ・ウィアーのベストセラー小説『火星の人(火星人)』、kindle でバカ売れした本ですね。

私は大好きですが、好みが極端に分かれる映画ですので、あらすじを読んで、興味なしと思えば、映画丸ごとシカトするのが正解です。

トリビアですが、本映画公開時の米国大統領、バラク・オバマが本作品を「これまで見た最高のSF映画」だと論評しています。

本作品は、アマプラで鑑賞できます。

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あらすじ

人類による有人火星探査ミッション「アレス3」が、荒れ狂う嵐によって中止に追い込まれた。

ミッションに参加した6人のクルーは撤収を余儀なくされるが、 そのひとりであるマーク・ワトニーは暴風に吹き飛ばされ、死亡したと判断される。

しかしワトニーは奇跡的に生きていた。独りぼっちで火星に取り残され、地 球との交信手段もなく、次にNASAが有人機を送り込んでくるのは4年後になる。

サバイバルに不可欠な食糧も酸素も水も足りない。そのあまりにも過酷な現実を直視しながらも、ワトニーは決して生き延びることを諦めなかった。

やがてワトニーの生存を知って衝撃を受けたNASAや同僚のクルーは、地球上のす べての人々が固唾をのんで見守るなか、わずかな可能性を信じて前代未聞の救出プランを実行する。

地球に帰還したワトニーは、宇宙飛行士候補生のサバイバル教官となり、次の飛行士を育成する役割を担う。

登場人物

マーク・ワトニー(マット・デイモン)

マット・デイモン

ワトニーは、博士号を持つ植物学者で機械技師、アレス III チームの一員で宇宙飛行士。

人物味がある役どころで、レタレでも傲慢でもなく、かといって科学おたくの頭でっかちというわけでもないキャラクターなので、人に好かれるって感じですね。

俳優になる前は、ハーバードの法科の学生だったという秀才マット・デイモン、何をやらしてもうまく演じてくれますね。

メリッサ・ルイス(ジェシカ・チャステイン)

ジェシカ・チャステイン

メリッサは、既婚者でアメリカ海軍潜水艦戦士官で、海洋学者、地質学者です。そしてアレス III ミッション司令官で、夫は地球に残して火星探索に参加している。

ドナ・サマーに代表される1970年代のディスコミュージックが大好きで、当初はハイセンスな音楽も現在ではダサすぎですね。

私も時々70年代のそういった音楽を聴きたくなる時がありますが、人に聴かれると恥ずかしいので黙ってコソっとスマホに bluetoothイヤホンで聴いています。

本女優、ジェシカ・チャステインはジュリアード音楽院の演劇部門卒業ということで、芸能エリートっぽさがありますね。何やらしてもうまい女優って感じです。

第94回アカデミー主演女優賞も獲得する実力派です。

みどころ

本作品は全体として高評価を受けている感じがします。私の周りでは人物描写に着目して、その他の部分に関心がない人が多いのですが、何度か鑑賞してみて感心するのは以下の点です。

  • マット・デイモンの演技
  • 火星環境の演出
  • 視覚効果
  • ダサさをふまえた音楽
  • 練り込まれた脚本
  • 科学的正確さ

ウルトラマンやスーパーマンの物理学を無視したようなSFコミックものも楽しいですが、科学的視点で真面目にとらえてプロットしたSFも、やっぱり楽しいものです。それでも、火星など誰も行ったことがないわけですから、あくまでデータに基づく想像上の世界ではありますけど、映像化してくれたのは嬉しいものです。

SFファンは何も言わずとも視聴するに違いないのですが、宇宙飛行士と航空センターの人との絆も工夫して描かれていて、先入観を持たずに鑑賞すれば、感動も得られますよ。

NASA内部での人物の対立はソフトに描かれているので、えらくさっぱり仕立てって不満もありますが、ドロドロ描写が不要と判断したスコット監督の狙い通りですね。

科学的なツッコミどころはあるか?

本作『オデッセイ』には、科学的にどうなのってところが、それでも少し残ってます。
それも含めてよく練られた作品だと思います。以下、少しずつ見ていきましょう。

火星への旅はありえるか

オデッセイ 火星

現在の技術では、火星どころか月に行くのも難しいとされています。
火星環境が、地球と酷似していると言われても、それが地球の北極や南極、サハラ砂漠と同じ環境であれば、一般人には十分に過酷な環境です(ちなみに火星は寒冷気候)。

現実的には、地球の周りのヴァン・アレン帯(放射線の降り注ぐ帯域)を人体が通過すること自体が困難で、多くの科学者はこれを理由に、他の惑星への旅は困難だとしています。

アポロ計画で、人類が月に到達した件ですが、それが事実だという前提の場合、短時間でヴァン・アレン帯をを通過し、陽子の多い放射線体を迂回できたからだとされています。

本作品でも用いられる、ロケットの『逆噴射』による着陸ですが、この技術はまだ人類が獲得できていません。現在のところ、それっぽく着地はできるのですが、結局着地後は爆発してしまい、その方法は SPACEX も失敗を続けています。実用化に向けた成功の一歩手前という感じですが、まだ数歩手前かもしれません。

着地そのものを成功させたとして、現実には逆噴射に要する燃料をどう維持するか、どうやって火星まで持っていくかなどの問題が山積しています。まだ、現実では SF のように宇宙空間で引き返したりすることすらままならないということです。

いずれは、火星への旅はできてほしいと思いますが、私が生きている間にはかないそうにはありません。

火星では映画のような砂嵐が吹くのか?

オデッセイ 砂嵐

NASA(アメリカ航空宇宙局)の惑星科学部門の部門長、ジェームズ L. グリーン氏(氏は本映画のアドバイザーでもあった)のコメントを紹介します。

「火星人はかつて、もしくは現在も存在している可能性がある」
「一方で、映画の危険な砂嵐は時速 190 キロに達しているが、実際にはそんなに強くないだろう」

つまり、「ほんのその風」ぐらいしか吹かないのが火星ということだそうです。
映画では誇張して演出してしまったというのが、製作者側の大人の理由のようです。

また、ジェームズ氏が地球外生命の話をするのは定番で、枕詞のように何らかの話に付け加えてくれます。ユニークで楽しい人ですが、マジの学者でシラフで語ってくれますので、真剣に受け取っておいて問題ないですよ。

火星で水は作ることができるのか?

ワトニーが火星で水を作ったプロセスは正確です。NASAの火星探査車に実際に使用されているとのことです。ただ、その水が飲めるのかどうか、人が飲んでも死なないだけで、常用に耐えうるものなのかは検証が必要です。

火星で植物栽培できるのか?

オデッセイ 植物

本作の見どころである、自分ひとり、孤独に、火星でジャガイモを栽培するシーンですが、そんなことできるのかなと思う人は多いはず。

ワトニーは、火星に残していったチームメイトの糞便を肥料に、即席とはいえ、ジャガイモ畑を火星で作ります。ところが、ジャガイモを育てる土は火星のもので、火星の土壌は植物にも、動物にも有毒なものなんだそうです。

というのも、火星の土壌は過塩素酸だらけで、動物が摂取すると甲状腺ホルモンの生産が阻害されるからです。

つまり、ワトニーはジャガイモ畑用の土壌は、もう一工夫必要だったということですね。火星でも、土さえ何とかなれば、ジャガイモぐらいは作れるようです。

火星の土壌ってどうなの?

火星の土は、強力な酸化剤である塩素酸塩(火星の表面の0.5%)が含まれています。これは消毒・殺菌作用などがあるため、通常では植物や動物にとっては毒です。

一方で、外来のバクテリアがエネルギー源にできる可能性も残されており(塩素を塩化物まで還元する際に、それから得られるエネルギーを自分自身の動力として使う)、これが火星には生命体(バクテリア的なもの)が存在する可能性があるとされるの理由の一つです。

火星の過塩素酸塩について

火星の過塩素酸塩(多分地球上でも同じ)は、紫外線で次亜塩素酸塩と亜塩素酸塩に分解されます。このこと自体は、消毒・殺菌作用が出ますので、細菌にとってはたまったものではありません。

さらに、火星のような、過塩素酸塩、酸化鉄、過酸化物がごっちゃ混ぜの場所で、細菌に紫外線が当たると、単独で過塩素酸塩に触れるより11 倍の速度で細菌が死滅します。

火星の表面の0.5%が過塩素酸塩というと、それは量としては膨大です。ごく微量でも有毒です。

上で火星にバクテリアが存在しているかもしれないという期待を述べたのとは裏腹に、仮にいたとしても、かなり限定的はずです。火星の一部を探索した程度では見つからないでしょうね。

一方で、人間にとっては有害極まりない過塩素酸塩ですが、ロケットなどの燃料として活用できる可能性が高いです。

過塩素酸塩そのもは花火で使用され、過塩素酸アンモニウムは固体ロケット燃料の成分です。その場で資源として採掘できるなら、未来の火星開拓のヒントになりますね。

トリビア

案の定、NASAは本映画に貫徹して協力している。本映画を火星への有人ミッションを宣伝するツールになると感がているという、アメリカらしい背景がある。

NASAの協力は写真やデータの提供のみならず、脚本から撮影技術に至るまで広範囲に及んだことも公表されている。NSASAだけで撮影できてしまうのではと思うほど、NASAって巨大組織ですね。

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