『背きの法律』感想レビュー|無実の弁護士は腐敗した司法制度と戦えるのか?
『背きの法律』はこんな人におすすめ
本ページはこんな方におすすめ
- 法廷ドラマが好き
- 社会派ドラマが好き
- サスペンス作品が好き
- 『リンカーン弁護士』が好き
- 『SUITS』が好き
- 『新聞記者』が好き
- 勧善懲悪ではない作品を見たい
『背きの法律』あらすじ
もしある日突然、自分が殺人事件の犯人に仕立て上げられたらどうするでしょうか。
法廷ドラマでは普通によくある設定ですが、
Netflixで配信されているタイドラマ『背きの法律(The Evil Lawyer)』は、まさにそんな絶望的な状況から始まります。
主人公のメクは、名家の出で公選弁護人として真面目に働く若き弁護士です。法律を信じ、正義を信じ、裁判所は真実を守る(正義が勝つ)場所だと信じて生きてきました。
しかしある放火事件を担当する中で権力者の逆鱗に触れてしまい、やがて殺人事件の容疑者として逮捕される寸前まで追い込まれてしまいます。
無実を証明するために彼が頼ったのは、自分がこれまで最も嫌っていた人物でした。
勝つためなら法律の抜け穴も利用する冷酷な女弁護士ジットリ。
正義を信じる若者と、法律をゲームとして扱う敏腕弁護士。
真逆の二人が手を組み、巨大な権力と腐敗した司法制度に立ち向かっていきます。
単なる法廷ドラマではありません。
「法律は本当に正義を守るために存在するのか?」
そんな重いテーマを真正面から描いた社会派サスペンスです。
『背きの法律』作品情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | The Evil Lawyer: 背きの法律 |
| 配信 | Netflix |
| 制作国 | タイ |
| 話数 | 全8話 |
| ジャンル | 法廷ドラマ・社会派サスペンス・ヒューマンドラマ |
| 主演 | ラータ・ポーガム、ナット・キチャリット |
| 年齢制限 | 16+ |
映画を楽しむための、タイ文化についての基礎知識
タイ映画やドラマを見るときに、タイは日本より遅れているとか、発展途上国のような感覚で鑑賞してしまうと、かなり損をします。実際、タイは東南アジアの中では最も豊かな国で先進国です。独自技術が少ないとか、日本と比べると手を抜きすぎな社会にも見えますが、この作品に登場するような人は、普通の日本人と比べても経済的に豊かで学識も豊富です。また、日本人には想像しづらいのですが、タイは日本よりスマホ文化では進んでいるところも多いのが特徴です。ただ、映画やドラマでは女性の裸の乳房などを表現できないなどという、タイ独特の仏教文化による制限もあるので、物足りなさの大部分はこういう点からきています。そのため、本作品のようなものを作るには、配役から脚本までしっかりと仕上げないと、Netflixの品質ラインをクリアできないという問題があります。
法律文化については、日本とよく似ていると思います。どの国も裁判はたらたらと長引かせて原告・被告を苦しめるのは同じですね。
出演キャスト
ラータ・ポーガム - Rhatha Phongam(ジットリ役)

勝利のためなら手段を選ばない敏腕弁護士。
「悪魔の弁護士」と呼ばれるほどの実力者であり、本作最大の見どころの一つです。有罪バレバレの容疑者であっても、検察側の法律的な穴をついて反論して無罪を勝ち取るという、よくある設定の役です。
結果的に正義感よりも、結果を重視する彼女の存在が物語全体を引き締めています。このこと自体は依頼者の利益になるので、弁護士の職責としてはまっとうなものであるというのが、職業倫理的には一応の正しい見方です。よくある、「犯罪者の味方をする弁護士はけしからん」という言い草は、あまり公平ではありません。でもジットリ弁護士は「自白ありのバリバリの逮捕された犯罪者を、証拠不十分で無罪放免にする」という倫理的に一線を越えている弁護士です。
役を演じるラータは女優というより歌手としての知名度が今でも強いと思います。彼女は女優、歌手だけでなく、モデル業もこなします。本作ではタイらしく露出なしの騎乗位でのベッドシーンを演じていますが、そのシーンではモデル感とか女優感はあまり出ていませんでした。本作品で、性描写と思われる個所はその箇所のみです、大人には演出不足でくだらない場面なのですが青少年少女と一緒に鑑賞するときは、そこらあたりに気を付けてください。ベッドシーンはあくまでも、弁護士のキャラを描写するためのもので、ハリウッド映画によくある、男は下、女が上という立場の演出ですね。
ラータの両親はコメディアンで、彼女自身は16歳でデビューアルバムをリリース、バレエダンサーもやっていたことがあるそうです。そこから女優業を本格化させたということで、意外にもコメディアンとしてのキャリアはないようです。私は彼女の筋肉質な足が気になりました、美脚に違いありませんけどね。
なお、彼女は確かバンコクの大学(英文学専攻らしい)に在学しているときは、両親の借金で苦しんだとか、後に英国の大学に留学して、英語は普通に流ちょうに話しまので、海外作品にも出演しています。
ナット・キチャリット - Nat Kitcharit(メク役)

理想主義の若き弁護士。いいところのお坊ちゃん丸出し。
司法制度を信じてきた人物だからこそ、腐敗した現実とのギャップに苦しみ続けます。
よくある設定です。
本作は彼の成長と葛藤を描く物語でもあります。なお、役者のナット・キチャリット は本作品ではパッとしない感じの映り方ですが、普段はモデルみたいなシャキッとした感じの人物です。たしか、歌手もしていたと思います。顔も普段は、本作のようなぼさっとした感じではないです。
アチャリヤ・ポティピピタナコーン - Atchareeya Potipipittanakorn(アン役)

メクの元恋人でタイ統合党首の娘。
物語が進むにつれて重要な秘密と向き合いながら、真相解明の鍵を握る存在になっていきます。といっても大した鍵ではなかった気もします。役者のアチャリヤ・ポティピピタナコーンは普通に美女ですが、残念ながら海外の作品にはあまり出演していなかったと思います。タイには普通にこのクラスの美女がいますが、一般論ですが美女に見えても性別が必ずしも女だという保証はないのでその点に留意ください(注:アチャリヤは女性です)。
シラ・シミー - Sira Simmee(カン役)

『マッド・ユニコーン』では主役のサンティ(アイス)のマブダチ役をしていたシラ・シミー(Gap)は俳優兼監督です。本作では俳優として登場しています。お茶目な場を和ませる役ですね。根っからの芸能関係者って感じです。
全8話の流れをわかりやすく紹介
第1話「告発」
メクは放火事件を追う中で危険な権力者に近づいてしまいます。
一方で女弁護士ジットリは裏社会と関わる依頼人の弁護を担当します。
正義と現実の対比が鮮烈に描かれます。やり方が、事実を捻じ曲げていると周囲から非難されるジットリ弁護士は、裁判所を出たあとに、敗訴した原告から、バケツに入った豚の血を顔にぶちまけられます。敗訴した側からすれば、ジットリ弁護士が犯罪者の方をもって無罪にしたとしか思えないからです。
第2話「供述」
弁護士のメクが殺人容疑で刑事告発されます。殺人といっても、メクは弁護士でもあることを鑑み、計画殺人で最高刑は死刑もある、普通は無期懲役の罪です。戦わずに罪を認めれば、刑が原型され半分になるので、マジで詰んでいる犯罪者なら認めて半額刑を受け入れるのが、タイでは普通なようです。
メクの人生が崩壊し始める中、ジットリ弁護士が救いの手を差し伸べますが、その代償は決して小さくありません。メクは銭目当て弁護士をしているのがジットリだと思っていましたが、ジットリがメクに求めた報酬は想像外のものでした。
第3話「自白」
ジットリと保釈中のメクは共同で弁護案件をこなします。そうしているうちに、メクの元恋人アンが抱えていた過去が明らかになります。
それてが、メクの事件とも意外な接点が見え始め、物語はさらに複雑化していきます。
第4話「宣誓」
ジットリ弁護士が型破りな戦略を展開します。メクの裁判に有利な証言を証人から得るために関係者の弁護をすることになります。
このあたりは法廷ドラマとして非常に見応えのある展開が続きます。実際には最低限の報酬が見込まれなければ、このような仕事はできません。
第5話「否認」
医師によるハラスメント問題が描かれます。ジットリはハラスメント容疑の医師(被告)の弁護をしますが、医師を訴えた側(原告)の弁護士は、ジットリの下で助手をしていた女弁護士でした。
本話は本筋とは別に見えて、実は司法制度の問題点を浮き彫りにする重要なエピソードです。
第6話「虚偽」
封印された真実に近づくため、危険な取引が始まります。ジットリ弁護士が重要な秘密を知る人物との危険な取引を結びます。
サスペンス色が一気に強まる回です。
第7話「吐露」
失踪した人物を追う中で衝撃の真実が判明。
ここから終盤に向けて緊張感が一気に加速します。
第8話「審判」
最終決戦。
腐敗した政治体制とタイの司法制度の闇が明らかになります。タイでの話ですが、日本も同じようなものです。
しかし物語は単純な勧善懲悪では終わりません。正義が負けるような結末にすると、反社、汚職支援の作品になりますからさすがにそれはできません。
その結末こそ本作最大の見どころです。監督は結末にこだわっていますね。
『背きの法律』の見どころ
① 法廷ドラマなのに法廷だけで終わらない
一般的な法廷ドラマは、一つの事件を解決して終わります。
しかし本作は違います。
殺人事件、放火事件、ハラスメント問題、人権問題、組織犯罪など複数の案件が連鎖的につながり、司法制度全体の問題を浮き彫りにしていきます。
単なる裁判劇ではなく社会そのものを描いている作品です。
② 「正義とは何か」を問い続ける
父親が名裁判長のメクは法律を信じています。
ジットリは法律を良くも悪くも利用します。だからやり手なんですよね。
どちらが正しいのか。
視聴者は最後まで考え続けることになります。
法律が存在していても正義が守られるとは限らない。
そんな現実を突きつけてくる作品です。
③ 最後まで展開が読めない
個人的に最も高く評価したいポイントです。単純に正義を勝たせて終わらせるストーリーだとただのゴミです。かといって、犯罪者が勝って正義が負けるような作品にはできません。
途中から「こういう結末になるだろうな」と予想しながら見ていたのですが、その予想が何度も裏切られました。
物語の終着点を容易に予測させない構成になっており、全8話を一気見してしまいました。
近年のNetflix作品の中でもサスペンスとしていい線をついてきた作品だと感じます。
個人的な感想
率直に言うと、かなり面白かったです。タイのドラマの幼稚、ク〇っぷりに飽き飽きしていたので、こういう作品が観たかったと思いました。
ただし、爽快感を求める人には向かないかもしれません。
本作は悪を倒してスッキリ終わるタイプの作品ではありません。
むしろ現実社会の理不尽さや権力構造の恐ろしさを描いています。
タイドラマというと、
- 恋愛要素が強い
- コメディ色がある
- エンタメ重視
という印象を持つ人も多いと思います。
しかし『背きの法律』はかなり海外ドラマ寄りです。
アメリカやヨーロッパの社会派ドラマに近い雰囲気があります。
東南アジア特有の色彩や文化的な演出も比較的控えめで、日本人でも非常に見やすい作品です。
むしろ題材を司法制度から売春や人身売買など別の社会問題に置き換えれば、日本でも起こり得そうな話だと感じました。
テーマを少しずらせばこの程度の話は日本にも転がっているので、それだけ現実味があります。ただし殺人までやるかどうかは、わかりません。
ラストの重さが印象的
そして何より印象に残ったのは終盤です。
これまで観てきたタイ映画やタイドラマでは味わったことのない深刻さがありました。
最後は「解決したから終わり」ではありません。というか、このようなテーマを設定してしまうと終わりなんて永遠に来ません。
巨大な権力と戦う現実はそんなに簡単ではない。
正義を貫こうとする人々の戦いはまだ続く。
そんな余韻を残します。
エンディングを見終えた後もしばらく考え込んでしまう作品でした。
裏読みすると、続編を作ることを含ませた雰囲気でもあります。
SNSや口コミでの評価
視聴者の口コミを見ると、次のような意見が目立ちます。
良い口コミ
- 法廷ドラマとして完成度が高い
- キャラクター描写が丁寧
- ジットリが魅力的
- 一気見してしまった
- 社会問題の描き方がリアル
気になる口コミ
- 重いテーマなので気軽には見られない
- スカッとする結末ではない
- 日本語吹替がない
特に「続きが気になって止まらない」という評価は非常に多く見られました。
日本語吹替はある?
2026年6月現在、日本語吹替版はありません。
視聴は日本語字幕のみとなります。
ただし会話中心の作品なので字幕でも比較的見やすい印象です。
まとめ|Netflixの隠れた良作タイドラマ
『背きの法律』は単なる法廷ドラマではありません。
司法制度の腐敗、政治権力との癒着、人権問題、企業犯罪などを通じて、「正義とは何か」を問いかける重厚な社会派サスペンスです。
全8話という見やすいボリュームながら内容は非常に濃密。
そして最後まで結末を予測させない構成は見事でした。
タイドラマのイメージを大きく覆してくれる作品でもあります。
Netflixで配信中なので、社会派ドラマや法廷サスペンスが好きな方はぜひ一度チェックしてみてください。
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